「検察の捜査で不正なことをしていないことが明らかになった」――。
民主党の小沢一郎幹事長は、自身の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で不起訴となった後、そんな発言を繰り返し、事件について国民に説明する姿勢を見せていない。しかし、小沢氏の不起訴は「嫌疑なし」ではなく、容疑を認定するのに証拠が十分でなかった「嫌疑不十分」。今月12日には、検察審査会に不起訴を不服とする審査申し立てもあり、専門家からは「小沢氏の発言は国民に誤解を与えかねない」との指摘が出ている。
◆発言◆
東京地検特捜部は4日、陸山会による東京都内の土地購入に絡み、事務担当者だった石川知裕衆院議員(36)ら3人を同法違反で起訴する一方、小沢氏については「有罪を得るだけの証拠が足りなかった」(佐久間達哉特捜部長)として、嫌疑不十分で不起訴とした。
この日、「公平公正な検察当局の捜査の結果と受け止めている」と報道陣に語った小沢氏は、8日の定例記者会見で、「不正な金は受け取っていないということが明白になった」と強調。石川被告が離党届を提出した11日には、「起訴理由を見てわかる通り、(石川被告は)実質的な罪について責任を問われているわけではなく、収支報告書の事務的なミスについての責任を問われている」と述べた。
さらに、14日には福岡県で開かれた会合に出席した後、報道陣に対し、「強制捜査ですべてを明らかにされたのは私だけ。その結果、不正はないということになったのだから、これほどの説明はないのではないか」と語っている。
◆疑問◆
こうした小沢氏の発言について、元最高検総務部長の中津川彰弁護士は「嫌疑不十分で不起訴になったということは、証拠は足りないが嫌疑はあったということを示している。もし、何も疑いがなければ『嫌疑なし』となったはずで、『不正はない』という小沢氏の発言は国民に誤解を与えかねない」と疑問を呈する。
小沢氏はゼネコンからの資金の授受がなかったと強調しているが、今回の起訴事実は、小沢氏の用意した土地代金の4億円の収入を隠すため、石川被告らが虚偽の記入を重ねたというもので、虚偽記入の総額は史上最高の約21億7000万円に上った。岩井奉信・日大教授(政治学)は「収支報告書に記載されなかった資金の中に、不正な金が含まれていたかどうかは、規正法違反の成立には関係がなく、小沢氏は論旨をすり替えている」と指摘。「4億円の原資に関する小沢氏の説明もこれまで二転三転しており、国民は納得しておらず、きちんと説明すべきだ」と語る。
◆虚偽記入◆
小沢氏は石川被告が逮捕された翌日の先月16日、今回の事件について「今までは(収支報告書の)訂正で許されてきたものだ」と述べた。しかし、陸山会など虚偽記入が明らかになった小沢氏の複数の関連政治団体から、これまでに訂正の届け出はない。
川人貞史・東大教授(政治学)は「政治活動に関する資金の流れを透明化するという政治資金規正法の趣旨からしても、記載を誤った収支報告書が公開されているのは、国民を欺く形になる。速やかに訂正すべきではないか」と話している。
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